ワールドの概要
今日、かぐや姫の帰った先は、兎のいち羽ですらも見受けられない荒涼とした死地だと教えられる。理解も。砂も。愛も。魂も。希望も。へったくれもない惑星に、なぜ鷲は向ったのだろう?そもそも、諸方の伝承で語られる月に住まうとされる、とりわけ高貴な人々というものは、どこへ消えてしまったのだろう?水のないと謳われる完全に制止した地球の衛星には、確かに「いのちの無い海」が広がっていた。決して命のはぐくみをはらむことのない、紫の無機質の谷、いのちの代わりに広大な死海に遺るは、月の静かさの根源。蛻の殻となってしまった、何者かのかつての栄華をつたえる古の旧都。我々は37万キロメートル先にある、生身ではアクセスできない宇宙最後のオアシスを、The Sea of Anomaly(奇異の海)と呼ぶ。
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